保育観について
「保育観」という用語。保育に携わる者ならば、よく聞く言葉ですよね。ですが、そもそも保育観ってなんなのでしょう。
- 1人目「保育に対して持っている自分の考え・正しいと思っていること」
- 2人目「自分が保育をしている上で、一番大事にしている根っこの部分」
- 3人目「保育をするうえで、どのような関わり・対応・教育が良いのかといった保育者の価値観・理念」
- 結論「各保育士が考える、子ども達のための最良の保育である」
根底にある保育観
あなたが保育士を目指している時に「どんな保育をしたいと思っていますか?」「どんな先生になりたいと思って、どのように子ども達と関わっていきたいと思いますか?」という問いかけをされた際に、自分の思い描く保育の理想こそが、保育観の根底となっています。
保育観の違い
人それぞれいろんな性格の保育士がいます。育ってきた環境も出会ってきた人も違うのでみんな個性的です。
性格がそれぞれ違うことと同じように保育観もみんなそれぞれ違いますよね。
例えば「子どもたちがのびのび心から楽しめるような保育をしたい」という先生もいれば「時間を守りしっかり自分のまわりのことをできるような保育をしたい」という先生もいますよね。これが保育観の違いです。
私自身の保育観
よく保護者にどんな保育観を持っているのか聞かれることがあります。
保育観ってその先生がどんなことを大切にして保育をしているのか。を表すとっても大切なものなので、そこを重要視する保護者もいるようです。
また、就職面接でもまだ先生になっていない学生に対しても自身の保育観について突っ込まれることもあります。
私は「自分の子どもがこんな先生だったらいいなと思う先生になりたい。また、全力で子どもと向き合うようにしていきたい。」と常に念頭において保育をしています。
全力で向き合うということは、遊ぶときももちろん一緒になり泥んこになり遊ぶこと。汗だくになり一緒に走り回ることはもちろんのこと、子どもが絶対にしてはいけないことをしたときには全力で叱るようにしています。
大切に思うからこそ全力で向き合うようにしています。
園の保育方針と自分の保育観が合うところに就職を
就職先を探す時にも園の保育方針と自分の保育観に合った現場を選ぶことが大切です。
私自身あまり深く考えずに就職を決めてしまったところ、そこの保育園はとてもスパルタで先生同士もギスギスしていて、いつだって園長先生の機嫌を伺っているようなところでした…。
子どもと関わりたいのに書類や製作ばかりでそんな時間がなかったり、押し付けるような保育の決まりやルールがとても多く、のびのびと保育が出来ないようでは、元も子もありませんよね。
同じ「保育の現場」と一言でまとめても長所短所・特色がそれぞれの現場にはありますので、これから就職という方は、しっかり自分の目で見学をしてから決めることをすすめます。
保育観は柔軟に
まだ自分の保育観がぼんやりとしているという人もいます。それは当たり前のことですので決して焦る必要はありません。
「あの先生の保育が素敵だなー」と、良いところを吸収しようと思いますよね。いろんな先生に出会うことで少しずつ自分の保育観が分かっていく・変わっていくという人もいます。保育観は柔軟に。
ですので、焦らずのんびりだけど、しっかりと一本軸になるものを持って保育していきたいですよね。
保育は結果がでるまでがとても長いものです。そのため、どの保育がこの子には合っているのか見極めるのはとても難しいものとなります。
この記事について
筆者:ももちゃん
保育士歴:9年半
投稿日:2016年6月15日
記事編集:はる蔵
編集後記「十人十色の保育観」
保育士によっては、「保育観の違いで悩まされるくらいなら、一人担任の方が気が楽でやりやすい」という方もいらっしゃいます。
このように各園の特色・保育方針だけではなく、複数担任の場合にも、保育観のズレで自分の理想・目標とする保育ができないこともあるかと思います。それにより、保育観の違いから衝突したり、我慢してストレスになることもあるでしょう。
「子どもは長所を褒めて伸ばす」や「褒めてばかりだったり、長所ばかり伸ばしてもダメだ」など、根底にある考えも十人十色であるように、このように育ってほしいという思いや願いも人それぞれですから、もはや保育観の違いがあって当然のことです。
また、「あの保育ではダメだ」など、保育観の正解・不正解を結論づけるのも難しいものです。
その保育観のもとで保育していき、その結果がいつ表れるのかどうかは分かりません。すぐに表れるかもしれませんし、その子が大人になってから本領発揮される場合もあるかもしれませんし。
ですから、例え分かり合えなくとも、分かり合おうとする姿勢が大事なのかなと思います。だからこそ新年度には自分の保育観を伝えながら、ペアである相手の保育観も把握しておきたいですね。
この時、どうしても自分の保育観で保育をしていってもらいたいのであれば、保育観を押し付けるのではなく、今後自分なりの保育をしていき、相手の保育観を改めなおす・変えてみせるという姿勢が大事なのかと思います。
もし変わらなかったら・認められなかったら、それはもう価値観の違いと思うしかありません。分かり合えなかったということです。これはもう保育に限らず、対人関係全般にいえることでしょう。
最後に一言。保育観は大まかすぎるくらいがちょうどいい気がします。一貫して考えを持つことは立派なことですが、明確かつ固執しすぎるのは、保育観をあらためることに支障をきたすのかもしれません。
筆者のももちゃんさんがおっしゃっていた「焦らずのんびり、一本軸になるものを持って・柔軟に」という言葉がそうだと思うのですが、他者と自分の保育観のもと、その子の個性に合わせ、臨機応変に保育していくのが一番なのかと思います。
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園の方針、園の決まりなど、自分とあっているかどうかは実際に働いてみないとわからないことはたくさんあります。
また、園の方針がよいと感じても一緒に働く仲間の保育観のすれ違いで園の考えと合わないと感じることもあります。
園の方針に基づいてどのような保育を行っているのか、先生方をよく観察し、自分の保育観を作っていくことが大事でしょう。
そして、保育観はしっかりと持つことが大事であるが、この記事にも書いてあるように時代とともに子どもも変わっていくため、保育観は柔軟に臨機応変に対応していく広い心を持つことは大事ではないでしょうか。
園の保育観と自分の思う保育観が一致することは大切な事項です。
自分よりも前から働いている保育者たちが、こういう園でありたいと築き上げてきたものを、新しく入った人に「ここは違う」「こういう指導がしたい」「私の保育観はこうなので。」と言われても、「新しい意見を参考に」と思ってくれる人は少ないでしょう。自分が選んで就職するのですから、保育観が園の考えに少しでも近くないといけません。
私の場合、保育観よりも、給料や家からの近さを就職活動の際に重視したので、保育観は園の物に染まって働きました。
とても辛い4年間でした。
保育観や指導方法を、しっかり見つめて理解して、自分にあっているのか、自分にこの保育観を持った園で保育者として務まるのか、しっかり考える必要があります。
しかし、これも実体験ですが。
保育観を「明るく・元気で・素直な子ども」としている園がありました。パッと見、「自分もそうだな」「自分もそういう子どもになってほしい」と思い入りましたが、中身は全く違いました。
そこの子どもたちは「明るく・元気で・素直な子ども」ではなく「先生にバレなければセーフ・大人の顔色を見て・全員が同じことをする」でした。
保育観とは、何なのでしょう。
私が実習をさせて頂いたときの話ですが、二歳児クラスを担当していた先生の言葉がとても印象に残っているので紹介いたします。
ふいに「どんな保育をしたいの?」とその先生に聞かれた私。いろいろと考えていたもののうまい言葉が見当たらずやっと答えたのは「子どもたちに好かれる先生」という答えでした。
その先生は私の理想をニコっと笑って聞いてくれた上で「じゃあどんな先生が好かれるんだろうね」と質問を投げかけてくれました。優しい先生・可愛い先生・元気な先生…。
それぞれ理想があるとは思いますが、その先生は「私は常に面白いことを考えているの。そうするとね、子どもたちは私に期待してくれるようになるの。“この人についていけばまたきっと面白いことしてくれるんじゃないか”と子どもに思わせたらこっちの勝ちなのよ」と教えてくれました。
その先生は私から見ても魅力的でいつでもガハハと大声をあげて笑っていてまるで子どもがそのまま大きくなったような方でした。
何気なく教えてくれたベテラン先生の保育観、今もわたしの一番のポリシーとなっています。