実際に起こった保育中の怪我と保育士の対応【事故防止】

実際に起こった保育中の怪我と保育士の対応【事故防止】

大事な子どもの命を預かっている保育士としては、子どもの怪我はあってはならないことです。しかし、まさかの事態で子どもが怪我をすることもあります。子どもが怪我をした時まずしなければいけないこと、その後の対応、また、事故を起こさないための対策などを書いていきたいと思います。

【事例】保育中に起こった医者の診察が必要な子どもの怪我

私の保育士人生の中で、子どもが怪我をして病院に走ったことは3回あります。うち、1度は転倒時に顎を床で殴打し、出血がひどかったため病院にて縫う治療をしました。あとの2回は、友だちに砂を投げられ1人は耳に砂が入り、1人は目に砂が入り大事をとって病院へ行きました。

子どもが顎を切ってしまった時、私は1年目でした。水遊び後、床が濡れていたため子どもが転倒してしまったのですが、その時は私はその子が転倒した現場を見ていなかったのです。泣いている子どもの声に気付き、慌てて走って行った時にはすでに子どもは床に転倒し、うっすらと血が滲んでいました。

怪我をした時の対応

ちょうどその事故が起きる1週間ほど前、隣のクラスでも子どもがふざけて室内を走っていて、滑って転倒し額を切る事故が起きたのです。隣のクラスの先生は、5つ年上のベテランの先生です。「誰か来て!」と、すぐに人を呼び、タオルで出血部分を止血している姿を思い出しました。

すぐに他の保育士を大声で呼び、私は持っていたタオルで顎の出血を止血しました。すぐに園長、数名の保育士が駆けつけてくれ職員室にその子を連れて行きました。
この時、他の子ども達が不安にならないように「大丈夫だよ。○○ちゃんは大丈夫だからね。」などと、出来る限り平静を装い伝えてあげましょう。

他の保育士へ自分のクラスの子たちを任せ、私は園長と共に怪我の具合を確認し、すぐに病院に行く必要があるという園長の指示のもと、保護者へ連絡して病院へ駆けつけました。

状況説明と謝罪・対応・報告

保護者に事情を説明し、とにかく謝罪を繰り返しました。この時、園長に、保育をしている中で子どもから目を離すことはあってはならないことだけれど、常に見ていることは不可能。ならば、どうしてその時保育士が傍にいなかったのか、ちゃんと説明できる状況でなければいけない。そう言われました。

私も保護者になって分かるのですが、「すみません、見ていませんでした。」で納得する親がどこにいるでしょうか。保育士へ対する不満が募るだけだと思います。
言い訳をしているようですが、「申し訳ありません。他の子がタオルを忘れたためクラスの子たちから離れていました。水遊び後で足も濡れていたため、子ども達を座らせておくべきでした。大変申し訳ありません。」こう伝えるのと、先ほどの言葉とどちらが誠意が伝わるでしょうか。

もちろん、目を離すということを軽視しているわけではありません。今回は治る怪我でしたが、これがもし子どもに一生残る怪我だったら、命にかかわる事故だったら、そう思うと、私達は『子ども達の命を預かっている仕事なんだ』と言うことを、常に頭に入れておかなければならないと感じます。

また、通院が必要な場合は保護者の方から怪我の経過を聞くなど、その後も子どもと保護者へ対してはきめ細やかな対応が必要です。

どの園でも、『事故の報告書』がどこでもあると思いますが、2度と同じ事故を繰り返さないための書類だと思い、詳しく記録しましょう。そして、何故起きてしまったのか、防ぐことはできなかったのか。次回へ活かせるように、もう一度考えてみてください。

事故を起こさない最大限の努力をすること

今回の事故で、水遊び後は必ず保育士が傍について移動すること。どうしても傍を離れる時は子どもたちには座って待っていてもらうことを園長や他の先生と話し合いました。
子ども達が安全に過ごせるように、事故が起きた後は職員全員で反省会をすることも大切だと思います。また、職員会議などで危険な箇所がないかなどの話し合いもとても効果的だと思います。

また出血が激しい怪我のほかに、目では見えない怪我もあります。特に頭を打った時は、必ず園長に報告し経過を見ましょう。このくらいなら大丈夫、という保育士の考えが大事故に繋がることもあります。

事故を起こさないように、また、事故を起こしてしまった時も、保育士同士自分がどう動くべきなのか1度確認してみてください。上記の見出しにもあるように、事故を起こさないための最大限の努力をすることが、保育士の義務だと思います。

この記事について

筆者:yuuna
保育士歴:8年(幼稚園教諭の期間も含む)
投稿日:2016年6月7日
記事編集:はる蔵

編集後記「ヒヤリハットと事故が起こった際の最大限の努力」

全文に赤文字太文字を入れたいくらい大事なことが書かれている記事です。新人さん・これから保育士を目指す方はもう一度じっくり言葉の意図を理解しながら読んでみてくださいね。

はる蔵が保育士1年目頃、子どもを立ち上がらせる時に腕を引っ張っり、脱臼させてしまったことがありました。
特徴として、もともと腕が抜けやすい子だったこともありますが、それは事前に知っていたことですので完全に自分の非です。事情がどうであれ保育士が子どもにケガをさせた事実に対し、とにかく猛反省しました。

そして事後、どのような時に、どのようにしたらそうなったのかなどを記載したヒヤリ・ハットという書類を提出しました。

ヒヤリ・ハットとは?

重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の発見をいう。

引用:Wikipedia

ヒヤリ・ハットは文字通りなんですが、ヒヤリとした予想だにしなかった子どもの動きや行動、ハッとした危険な出来事などを記載した書類でして、職員全体で共通しておりました。
職員全体で情報共有もするため、こういった事故報告書はとても嫌なものだったですが、事例を活かすための書類でもあるのでウソ偽りなく書くことが大切です。
あとは自己反省で二度と起こらぬよう気を引き締める。

このように最大限、事故防止に努めるのは当然ですが、どれだけ頭で分かっていても、注意をしていても起こってしまう事故もあるでしょう。ですから、もしものための基本的な応急手当は頭に入れておきたいものですね。

そして備えあれば憂いなしということで、心肺蘇生やAEDの使い方などの講習にも是非とも参加してみましょう。はる蔵の場合は職員研修で救命講習を受講しましたが、正直忘れかけている部分があります。学んだことはしっかりメモをしておき定期的に復習することも大事ですね。

それと、はる蔵が勤めていた保育園には職員として看護師さんが雇用されていたのですが、その看護師さんが作成してくれた応急手当のマニュアルを保育士に配布し、事故防止に努めていました。そういったものがなかったら看護師さんに要望してみるのもいいですし、あるんだったら定期的に読み返してみてくださいね。

とは言え、看護師さんが配置されていない園もあるでしょうし、そういった場合は自分でマニュアルノートを作成するなり、応急手当の手引書を購入して学習してみましょう。

本記事の筆者であるyuunaさんがおっしゃっていた「事故を起こさない最大限の努力」が第一であり、また第二には「事故が起こった際の最大限の努力」その両方が大事だと考えました。

最後に保育士目線ではなく、子ども目線のお話。

はる蔵が保育園生の頃の事故です。同じクラスのT君が大型ブロックの遊具で遊んでいる時に、ブロックが?本人が?落下して、頭から大量出血という大事故が起きました。今考えてもその血の量は死んでもおかしくないほどの量でしたが、なんとか一命をとりとめたのが幸いです。

基本的に保育園の時の記憶はあまりないのですが、それは鮮明に覚えています。一瞬でT君がしゃべらない・ぐったり横たわっている…その状況がこわくて、めちゃくちゃ不安になりました。寝る時もT君のことを考える時も、その状況を思い出してしまう毎日でした。

もしも事故が起こってしまったら保育士もパニックとなってしまう気持ちも十分に分かりますが、yuunaさんが言っていた事故が起こった後の他の子ども達の対応もしっかりするべきだと思います。二次災害とならぬよう、的確な判断と行動ができるようにしましょう。

こうやって言葉で言うのは簡単ですよね…。自身、そうやって的確にできる自信はないのですけど、皆さんも頭に入れておくだけでも違うと思うので、他の子ども達のことも考え、なるべく慌てずに対処してみてくださいね。

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コメント一覧

  1. TOMO より:

    私が保育士として働いた3年間、交通事故だったり、命に関わる事故には幸い無縁でしたが、やはり怪我をしてしまう出来事は何度もありました。

    遊具で遊んでいる時に、足を踏み外してしまい少し高い所から落ちてしまったり、椅子が後ろにひっくり返って舌を強く噛んでしまい、舌を3針縫う怪我などもありました。

    少ない保育士で大勢の子ども達をみているため、一人ひとりの行動など十分に把握できないこともありますが、常に危険を予測・察知しながら子ども達を見守っていかなければなりませんね。それが怪我・事故防止の1つでもあると思います。

  2. ももちゃん より:

    子どもの事故…。たくさんの子どもたちをまとめて見ているので事故があることは「当たり前」なことでもあるんですよね。
    私も初めて年長さんを持ったときに、とってもヤンチャなクラスだったので、私がバス待ちの子どもたちを送り出しているときに、部屋に実習生と数人の子どもたちのみの状況になり、椅子で迷路をつくっていて、椅子から椅子に飛び移っていたようで、男児が頭から出血しました。
    実習生が真っ青な顔をして私のところに教えにきてくれたのですが、とっても大事な頭だからこそ私もとても焦りました。

    その時の状況をとても細かく聞いた上、実習生にかわり保護者に連絡をしました。
    事細かく伝えること。どうすればこの事故が防げたかということ。を誠心誠意伝えたところ、保護者は男児がとてもヤンチャだったことも知っていたので、逆に心配かけて申し訳なかったと謝られてしまいました。

    小さな事故を繰り返すことで子ども自身もどうしたら大きな事故にならないか学ぶこともありますので全てをこちらでとめてしまってもいけないし、難しいところですよね。

  3. とんがりこーん より:

    私も同じような怪我をさせてしまったことがあります。
    夏のプールの時間に、足元が濡れているA君がプールサイドで足を滑らせ転倒、後頭部を縫うという怪我をしてしまいました。
    一緒に保育にあたっていた先輩保育士が、すぐに止血。園長と共に病院へ行きました。
    他の保育士に子ども達をお任せし、「なぜ事故が起きたのか」「どういう状況だったのか」事実確認のため緊急会議が行われました。
    その後は速やかに保護者に謝罪をするとともに、事故の全てを説明しました。
    私は「○○しているから大丈夫だろう」という思いを改め、「何が起きるか分からない」「もし○○が起きたらどのように行動するか」と予測しながら毎日子どもに関わっていかなければならないなと反省しました。(事故が起こらないように配慮することは前提ですが)
    本当に保育中は予想もしないことが起きます。
    でもそれは命を預かっているから当たり前のことであって、その後の行動・対処が保育士に求めれると思います。

  4. みかんてぃ より:

    ヒヤリハットは保育の世界で働く人は、100パーセント経験します。
    「ヒヤリ」で済むならいい方。事故やケガも絶えません。

    この記事の園長先生の言葉は胸に刺さります。
    良い言葉がけだと思います。

    1年目は経験するのが大事。1年目は分からなくて当然。
    そういう意見の方もいると思いますが、私だったらそんな先生のクラスの実験台になりたくないと思ってしまいます。

    資格を持って、責任ある仕事に就くのですから、ヒヤリハットがどういうときに起こるか、今日の保育はどこが危険か、どこで事故ケガが起こりやすいか、しっかり把握した状態で保育に臨んでほしいです。

  5. emifuru より:

    好奇心旺盛な子供たちが怪我をしないように気を付けることも保育士として大切な仕事の一つだと思いますが、子供って大人の目が届かないところでけがをすることもあります。
    私が保育士をしていた時4歳児の男児ですが、虫が大好きでいつも虫探しをしていました。いつものように虫探しをしていたら、毛虫がいたようで毛虫を素手でさわり刺されたようで、病院に連れていくということがありました。
    好奇心旺盛の男児にとって怪我などおかまいなしに行動します。しかも大人が知らないようなところで起こります。
    一人一人の子供の行動を把握するのは難しいことですが、申し送りなどでクラスの子供の様子をほかの保育士に伝えることも大切だと思いました。私が当時未満児クラスに入っていた時の話です。

  6. もんじゃ より:

    私は、保育所に35年勤務してます。
    この前大失敗をしました。2歳児担当です。体力的にも、辛くなり騒ぐ子に疲れ集中力も限界になっていました。騒ぐ子を横目に活動の準備をしていると、ある子が転倒し口を切りました。
    その子の親はモンペア…。親、祖父母までにも、怒られ…。自分に情けなくなり、鬱になりそうです。かと言って、誰にも相談できません。保育士が嫌になりました。

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