男性保育士志望の実習生とその後の進路
保育士をしている間、男性保育士と一緒に働く機会は残念ながらありませんでした。しかし、男性の実習生とかかわった経験はあります。
将来は男の保育士になりたいと夢をもって実習に来てくれた、その実習生の様子や子ども達の様子、彼のその後の進路について書いていきたいと思います。
男性の実習生と子ども達の様子
男性の実習生が私のクラスに実習に来たのは、本人が3歳児クラスを希望したからです。そして当時3歳児を担任していた私が実習生担当保育士となりました。
男性の実習生が園に来ること自体初めてで、子ども達も興味深々です。しかし、男性と言うことで少し『身構える』子どももいました。
普段、園にいる先生と呼ばれる保育士は全て女性ですので、子どもが戸惑うことは当然だと思います。
怖がって見える子がいるかもしれない。そういった子には少しずつ距離を縮めていってほしいことを伝えました。
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また逆に男性の先生だからこそ普段とは違い生き生きとした姿を見せる子どもも大勢いました。戸外遊びであまり身体を動かす遊びが好きでない子が、その実習生と鬼ごっこをしているなんてこともありました。
『男性だから』と、敬遠されがちな部分も保育士という仕事の中には確かにあるかもしれません。しかし、それ以上に私達では引き出すことのできない子ども達の未知の可能性を引き出すこともあるのだと言うことを覚えておいてほしいなと思います。
その後の進路、男性保育士の受け入れ先がなく夢を断念
その男性の実習生は本当に子どもが大好きで、できるならば保育士を一生の仕事にしたいとも話していました。しかし、『保育士』の道を歩むことはありませんでした。
ある時、スーパーでばったりその元実習生に会ったのですが、就職活動をしていても『男性保育士』の受け入れが極端に少ないとこぼしていました。
最初は、いくつもの保育園や公立園の就職試験を受けたそうなのですが、やはり『男性保育士』だからなのか、なかなか最終選考まで残ることができなかった・採用されなかったそうです。
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次第に就職活動も終盤を迎えてしまい、その男性保育士志望の方は保育士とは別の職業に就くことになりました。
今後、今の仕事をしながら保育士を目指すことは難しいと笑っていましたが、私としては『子どもが大好き』という彼の保育も見てきたので、是非保育士として芽を出してほしかったなと思わずにはいられませんでした。
他園でも男性保育士が採用されても、数年で退職してしまうという話も何度か聞きました。独身の頃はいいのですが、結婚し家庭をもつと保育士の給料だけではとても無理だと言ってやめてしまう人、女性だらけの職場に馴染めなかった人など様々です。
そのような話を聞くと、やはり保育士業界は『女性中心』であり、『男性保育士』は立場が弱い位置にいるのだなと実感します。
特に、給料面では家庭をもつとなったときに、悩む人が多いような気がします。そう思うと、やはり保育士の給料はどこか一般企業とは違い、不安定にうつるのでしょうか。パパが保育士なんて、かっこいいと私は思うのですが…。
実習に来ていた彼が、保育士として働く姿を見てみたかったなというのが本音ですが、今後その夢は叶いそうもありません。保育士不足が叫ばれている今、男性保育士の立ち位置というものも1度見直してほしいものだなと思わずにはいられません。
この記事について
筆者:yuuna
保育士歴:8年(幼稚園教諭の期間も含む)
投稿日:2016年5月10日
記事編集:はる蔵
編集後記「男性保育士の雇用について考えてみる」
以前ご紹介した保育園の就職決まらず卒業してしまった男性保育士の苦難と同様、男性保育士の就活は本当に困難ですね。僕もその一人でしたからよく分かります。
保育士不足なのに男性の就職先が厳しいのは、業界全体がまだ男性を受け入れていない証拠。それでも男性保育士は徐々に浸透してきているし、そこまで珍しい存在ではなくなってきましたが、まだまだ多くの園が男性雇用の不安ばかり考えてしまっているのでしょう。
雇用主の立場になって考えてみると、実際に男性保育士による悪質な事件などもありますし、問題が起きてからじゃ遅いと懸念してしまう気持ちも分かります。
でもそんな悪質なことをするのは極一部の人間であり、男性だからと皆が皆そうではない。真剣に保育士というお仕事に向き合おうとする男性保育士志望の方の夢を、簡単に断ち切らないでほしい。メリットだって多くあるんですよ。
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主な男性保育士のメリット
就職問題に悩む男性保育士志望の方は、とにかく誠意・信用を自己PRできるように面接・行動で頑張ってみてください。
それでもうまくいかず、時には妥協する必要もあるかもしれませんが、夢だけはあきらめないで、まずは保育士としての実績を積んでみてください。
実績が信用となり、いずれ他の園に転職する時にだって有利になるでしょう。
保育士不足の中、『なりたいのに選ばれない』ということに驚きを隠せません。しかし、これが今の時代での現実かもしれませんね。
私が卒業した保育科の専門学校に、男性は7名程いました。全員保育士として就職しましたが、その道のりは傍から見ても厳しかったです。
その中で私が一番記憶に残っているのは男性を採用するにあたって力仕事や不審者対策になるメリットと、場合によっては園舎の建て替えというデメリットがあります。
前者の説明はともかく、後者の説明ですが、力仕事や不審者対策のメリットを考え男性を採用したものの、更衣室が女性専用の場所しかなく、園舎に男性用の場所を設けるために建て替えたそうです。
園側も採用するときにはかなり悩んだと思いますが今後の採用や行事での使用を考えると、男性用の更衣室もあった方がいいと私は思います。男性の採用率が低い理由はどの園にもあるのではないでしょうか。その理由が解消され、1人でも多くの男性が採用されるといいですね。
男性保育士…難しいですよね。
お給料が低いと散々騒がれている保育業界ですが、それでも男性でも保育士として働きたいと思っている方はたくさんいますので志の高さを感じますよね。
実際結婚したら金銭的に子どもを育てていくことができないということで、やむを得ず退職の道を選んでしまうことが多いことも悲しいですが現実ですよね。
男性保育士。子ども達にとっては本当に魅力的な存在ですよね。高い高いをしても女性保育士の高い高いとは全く違う景色ですし、なにをするにしても体力があり馬力がありますので、子どもたちにとっては「この人に何をしてもらおう」と目をキラキラさせながらみてしまう存在でもありますよね。
まだまだ女性が多く男性保育士というと構えてしまうのは、子どもだけではなく保護者がとても多いように感じます。
ですが、どの保護者も子どもたちの男性保育士に対する目の輝きをみたらどれだけの魅力があるのかすぐに理解してくれることと思います。
もっともっと男性保育士が増えて子どもたちの体力面での成長などにつながっていったらいいのにな・・と思っております。
「保育士」と名前を変えたのは男性を受け入れるためですね。昔は「保母さん」でした。
「看護婦」が「看護師」になりました。
でもどちらの職場も、男性の立場がなかなか難しいのではないでしょうか。
男性の保育士の方自身にも自信の無さが出ていたり、受け入れる園側の気持ちの整理がついていなかったり。
どちらにせよ。
まだまだ保育士が保母さんだった時代。女性ばかりでしか働いてこなかった世代が、保育者として園にいる限り、中々難しいのが現実のように思います。
女性は1人で行動しないのに、意見を固めて団体で攻撃しようとしてきます。
怖い怖い。